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とまらない咳や乾燥肌にさようなら!季節の養生で潤いのある秋へ

暑い夏から気温が少しずつ落ち着き、自然界が赤やオレンジに色づく季節。実りの季節でもあり、おいしい食べ物がたくさん!その反面、肌がカサついたり咳が止まらないなど、乾燥によるトラブルも多くなります。

中医学の観点から秋の特徴を知り、養生法を学ぶことで、乾燥から身を守り、潤いのある秋を過ごしましょう。

季節の養生 秋を知る

まずは、秋がどんな季節かみていきましょう。

季節の養生 秋について

立秋から立冬までの8・9・10月

一般的に、秋はこの3か月を指します。立秋は大体、毎年8月8日前後。まだ夏の暑さが残っている時期なので、ピンとこないかもしれませんが、自然界はこの頃から風や雲の様子が変わり始めます。

◇植物の状態で秋を判断

とはいえ、日本列島は長いので、暦で秋を決めるには無理があります。その土地の「植物の状態」や「生き物の状態」で判断をするのが良いでしょう。

秋は葉が落ちて果実が実り、動物たちは冬眠の準備をする季節

忙しい毎日から視点を少しだけ自然界へ移すと、季節とのつながりを感じられると思います。

◇秋は振り返りの季節

一日で例えると、秋は夕方。理想的な夕方の過ごし方は、一日の行動を振り返りながら、ゆったりと過ごすことではないでしょうか。同じように、秋は振り返りの季節です。楽しかった夏。あんなことがあったな~、こんなことがあったな~、と思い出しながら、にやにやしたり感傷に浸ったりする季節です。夏にやり忘れたことを、秋に慌てて始めるよりも、少しずつ穏やな生活にシフトしていきます。

◇食欲の秋

秋の代名詞のような言葉。夏に咲いた花が散り、植物がおいしい実をつける季節。考えただけでも食欲がそそられます。でも「食欲の秋」と呼ばれる理由は、それだけではありません。夏の間、外気の湿邪で弱っていた脾/胃が秋の乾燥で元気を取り戻し、食欲が回復する季節なのです。さらに、これからの寒い季節に向けて体は自然とエネルギーを蓄えようとします。これら全部をひっくるめて「食欲の秋」ということ。だから、少しくらい食べ過ぎても大丈夫ですよ!

◇五行:金のエネルギー

中医学のベースとなる五行説では、秋は金のエネルギーを持つといわれています。

金は硬い石です。それは内側に向かうエネルギーが強いためで、これを「収れん」といいます。夏に咲いた花(※エネルギーは外向き)が散り、秋に種や実が成る(※エネルギーは内向き)。それは金行の「収れん」のエネルギーを持つからです。自然界と繋がる私たち人間も、当然このエネルギーの影響を受けています。だから夏は意識が外に向き、エネルギーを大いに発散したくなるのに対して、「読書の秋」と言われるように、秋は少しずつ静かに室内で過ごしたくなるんですね。

季節の養生 秋に中心となって働く五臓

私たちの内臓もまた、この五行の性質を持っているので、季節ごとに活発に働く臓器が決まっています。春は肝、夏は心、長夏は脾、秋は肺、冬は腎。まるで、小学校のお当番のようです。

◇秋の肺

秋のお当番は肺です。肺の特徴をみてみましょう。

  • 全ての臓器の傘

肺は横隔膜の上に左右一つずつ。五臓の一番上にあります。腎は一番下に二つ。上下に二つずつあり、残りの五臓は左右にバランスをとりながら一つずつあります。肺は五臓の傘のようになっています。

  • 乾燥に弱い

植物の葉が呼吸をするように、肺も呼吸をしています。葉は熱くなると、乾燥してカラカラに縮んでしまいます。同様に、肺の中の水分が足りなくなると、肺は枯れた状態になります。これを中医学では「肺陰虚」といいます。肺陰虚になると、肺が熱を持ち空咳が出るようになります。秋に咳がたくさん出るのは、肺が乾燥しているサインです。肺にとって乾燥は大敵。いつも潤してあげることが大切です。

肺を潤してくれる食べ物は、中医学では「白いもの」といわれています。白は金のエネルギーを持つ色です。肺の水分を逃がさないように、白い雲で覆って守る、そんなイメージでしょうか。これもまさしく「収れん」のエネルギーといえます。

  • お嬢さま

ところで、肺は涼しいのが大好き。なぜって、熱いと水分は蒸発してしまうけど、涼しいと水分は抜けないから。涼しい秋は、肺が本来活動しやすい季節。でも…秋の空気は乾燥しているんです。乾燥は大の苦手。寒すぎるのも苦手。熱いのも嫌、急激な温度の変化にも弱く、他の臓器の病変にも影響されやすい…。デリケートで傷つきやすく、手のかかるお嬢さまみたいな肺は、中医学では「嬌臓」と呼ばれています。

  • 肺の相棒 大腸

秋に肺とペアになって働く臓器があります。それが大腸。大腸は小腸とつながり肛門までつながっています。主な働きは排泄。小腸から送られたものから水分を吸って便に変え、老廃物として体外に排泄をさせます。ところが、もしパートナーの肺が乾燥して肺熱を持っていたら、大腸は肺のために人肌脱ぎます。便を作るための水分を、肺に送ってあげるのです。「俺はいいから、お前だけでも潤ってくれ…」(妄想)。すると、水分が足りなくなった大腸では、便が硬くなり便秘になります。便秘は、肺を守りたい大腸の涙ぐましい愛の結晶。肺が冷えれば、逆に下痢になります。パートナーなので、お互いに影響し合っています。どうせなら、肺も大腸も仲良く自分たちの役割を果たさせてあげたいですよね。その為に、体を想いやる心が必要です。

季節の養生 秋 肺の働きを知る

次に、肺の働きを知りましょう。

季節の養生 秋 肺の働き ①呼吸を管理する

肺は呼吸によって自然界の気(精気)を取り入れ、全身に送る働きをしています。

◇宣発(せんぱつ)と粛降(しゅくこう)

宣発とは「吐きだす」こと、粛降とは「吸い込む」こと。要は「呼吸」のことです。この機能が正常に働くと新陳代謝が活発になり、呼吸によって全身の水分調整と排泄を促すことができます。逆に呼吸の浅い人は、新陳代謝が低くなります。肺のエネルギーが弱い肺気虚タイプの方は、水分調整がうまくいかず、便や尿の出が悪くなり、汗もかきにくいのです。

  • 呼吸は肺と腎の共同作業

ちなみに、呼吸は肺のみで行っているように思われがちですが、実は宣発/粛降のうち、粛降(吸い込む)の働きは腎が関わります。まずは腎が「肺さん、肺さん、吸ってくださ~い」と命令をし、その命を受けて肺が「吸いまーす」と吸い込むのです。呼吸の浅い方は、両方が浅いのではなく、どちらか片方であることが多いので、自分の呼吸をよく観察してみましょう。吐くのが苦手な方は肺が弱っているサイン吸うのが苦手な方は腎が弱っているサインということです。

季節の養生 秋 肺の働き ②気血を巡らせる

肺はまた、後天の本である脾/胃で作られた大切な栄養(気血)を体に巡らせる働きもしています。

気血は消化器系である「脾」が食べ物から作ってくれます。でも脾の働きは作るところまで。「あとはよろしくね」と、肺に気血をえい!っと持ち上げます。気血は自力で流れることができないので、もし肺がだんまりなら、気血はただの老廃物になってしまいます。滞りが起き、浮腫んだり、血がドロドロになって体に痛みを発症させてしまうのです。だから肺に深い呼吸をさせてあげるのはとても大切です。

◇肺の時間は朝の3時~5時

季節ごとに五臓の当番があれば、1日の中でも五臓の当番時間というものがあります。それが「経絡時計」。

肺が一番活発に働く時間は明け方の3時~5時。この時間は睡眠が一番深い時といわれています。熟睡している間に、肺は深い呼吸によって、栄養分である気血を各内臓に分配します。「大腸さんはもうすぐ活動の時間だから、たくさん気血あげる♡」「胃と脾もエネルギー作るのに体力必要よね♪いっぱい気血あげる♡」…こんな感じで。

◇五臓の働きはリレー式

ところで、この肺が活動する前は何の五臓の時間でしょう。「肝」ですね。肝の重要な役割は、1時~3時の間に「蔵血」といって倉庫にきれいな血をたくさんしまうことです。3時までしっかり血をしまい、時間になったら「あとは頼んだ!」とバトンを肺に渡します。しかし肝が蔵血作業に没頭できるのは、私たちがしっかりと眠っていることが前提です。起きていたら、考えるための血を頭に送ったり、スマホを見るための血を目に送ったり、手を動かすための血を筋肉に送ったり…と、まったく「蔵血」ができません。そうこうしているうちに、キーンコーンカーンコーン…3時です。持ち分の仕事が終わらないままバトンは肺へ。

肺は自分の時間になったので、気血を全身に送るため倉庫をあけます。が…

「ん?」

「ないっ!」

「血がないんですけどっ!」

…まぁ、そうなりますよね。分配するための気血がないので、当然、仕事ができません。体には栄養が行き届かないまま、朝がきました。

だるい…

そりゃそうです。活動のための栄養を各五臓が受け取れていないのですから。

どうですか?体のこと、大切にしたくなってきましたか?身体のこと、大事に応援してあげましょう。

ちなみに、肺が弱い方は明け方3時~5時の時間にバトンをもらってもフラフラで、苦しくて目を覚ましてしまいます。明け方に目が覚めてしまう方、肺の調子を調えてあげましょう。

◇鼻から皮膚まで呼吸器官

呼吸をつかさどる肺は、きれいな気を取り入れて、汚れた気(濁気)を排出します。その呼吸器官は肺だけにとどまりません。中医学で「肺」とは西洋医学の物理的な肺だけでなく、鼻から皮膚までも含んでいます。鼻でも呼吸をするし、皮膚でも呼吸していますね。このことから、肌をきれいに保つには肺を調えることが大切なんですよ。

季節の養生 秋 肺の働き ③悲しみと正義感

中医学では、感情は五臓から生まれるといいます。五臓の乱れはコントロールできない感情を生み、また強い感情を持つことで対応する五臓を傷めてまうともいいます。

◇悲しみの感情

金のエネルギーが持つ感情は「悲しみ」。肺が弱くなると、この悲しみの感情が強く出ます。自分ではどうにもコントロールできない悲しみ。涙が止まらない…そんな時は、肺のバランスが乱れているサインかもしれません。

◇強すぎる正義感

肺気のバランスが崩れると、悲しみの他に「強すぎる正義感」が湧き上がることもあります。これはまさしく金のエネルギーによるものです。金は硬い石。石はぶつかると痛いですね。この痛みから、人やモノを傷つける性質があると考えます。そして、白と黒をはっきりさせたい。グレーなんてものもは存在しない!硬い石で、白と黒の二つにパッカーン!と割ってしまいたい。そんなイメージです。やけに人を攻撃するようになったり、自分のことも人のことも責めるようになったと感じたら、ひと呼吸。肺にやさしくしてあげましょう。あなたの性格のせいではありません。内臓を調えてあげればいいのです。

  • 親子の関係は親の肺のバランスで大きく変わる

例えば肺のバランスを崩して、正義感が異常に強くなったとしましょう。その矛先は、どこへいくでしょう。五行では不調は相克関係の矢印へ向かいます。金の不調は木へ。木のエネルギーの特徴は、成長・発育・自由でのびのび。人生でいうと、子ども時代はまさに木行にあたります。子ども時代にのびのび育てば、大きくなったら自分らしい花を咲かせることができるでしょう。しかし、もし両親がとても厳しく、押さえつけられ、のびのびできなかったとしたら、きっと自分らしい花は咲かせられないかもしれません。

そして親に厳しく育てられた悲しみは、心の奥に蓄積され、肺のバランスを崩す原因となります。その子供が大人になった時に、自分や他人をジャッジする性質を持ってしまうかもしれません。もちろん、絶対とは言いません。でももし、とても厳しく育てられた記憶があり、親子の関係がぎくしゃくしているのなら、こう考えてみて下さい。もしかすると、ご両親は同じように子供時代に厳しい環境で育ったかもしれません。そのために、人や自分をジャッジし、責める、そして相手を傷つけ、自分も傷ついてきた…、そんな生きづらさを抱えて、人生を生きてこられたかもしれません。中医学は、自分を知り、家族や周りを理解する学問です。少しずつ、変化させていけるといいですね。

季節の養生 秋 肺と大腸の不調

さて、このブログも終盤にさしかかってきました。ここまで秋の五臓、肺の働きについてお話してきました。次はその肺が不調を抱えた時に起こるサインについてです。働きが分かれば、不調についてはイメージが湧きやすいかもしれません。

  • 肌荒れ、ドライスキンなどの肌トラブル
  • くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻炎症状
  • 風邪をひきやすい
  • 呼吸困難
  • 咳、痰、喘息など
  • 汗、尿が出ずらい
  • 便秘
  • 浮腫む(上半身の水太り)

全て、肺に関わることです。

季節の養生 秋 生活の注意点

いよいよ秋の養生法についてです。秋の養生にはポイントがあります。それは”倍陽潤肺”。燥邪から肺を守って潤し、陽気を内側にしっかり溜めていくことです。この「陽気を溜める」という考えは、寒い秋冬にはとても大切で、春に力強く芽吹くためには、この陽気がどれくらいあるかで、決まってくるのです。

寒い季節は、陰気を養うことで、春まで陽気をしっかり守ることができます。

生活養生と食養生

では「倍陽潤肺」を念頭に置きながら、まずは生活養生と食養生についてみていきましょう。

◇早く寝て陰気を養い、早く起きて適度に陽気を取り込む

陽の入りが徐々に早くなってきました。陰の時間にはしっかり寝て陰気を養います。また、自然界が陰気に傾きつつありますので、体の中の陽気を少しでも増やすため、太陽が昇ったらなるべく早く起き、太陽の光を浴びて陽気をしっかり体に取り込みましょう。

◇適度な運動で気を巡らせる

寒い季節は毛穴が閉じています。汗をかくことで大切な陽気が外へ逃げてしまうため、体がそれを阻止しようとしているのです。無理に毛穴を広げるような激しい運動は控え、ヨガや気功など緩やかな動きで、体の内側で陽気を巡らせましょう。

◇心身を穏やかに保つ

自然界は陽から陰へ転化しています。陽気を外側に発散することが養生だった夏から、少しずつ秋仕様にシフトしていきましょう。

◇燥邪から身を守る

秋は乾燥の季節です。秋の「肺」は乾燥に弱い五臓。必要であれば室内を加湿するなど、肺を潤す対策をしましょう。

◇気を使い過ぎない

寒い季節は、なるべく気(エネルギー)を内側に溜めておきたい季節です。人に気を使うことも、エネルギーを放出することです。人との関わりの中で生きる限り、気を使う場面はあると思います。大切な気をダダ洩れに使うのではなく、誰に、どこで、どのくらい使うのか、考えてみましょう。自分自身の気がしっかり満ちていれば、エネルギーは自然と大切な人に届いていきます。誰かのために気を使おうとする前に、まずは自分の気を調えてあげてくださいね。とくに、世のお母さんたち。母は土のエネルギーです。土は受け入れ、育て、変化させるエネルギー。家族のことをいつも考えているお母さんは、まず自分を一番に大切にしてください。そうすれば、家族はきっと良い土の中で、のびのびすくすく生活ができると思います。

◇肺を潤すものを食べる

燥邪から身を守る一つとして、肺を潤す食材を取り入れます。基本は同じ金のエネルギーを持つ「白」い食材を摂ること。

  • 杏仁
  • ゆり根
  • 白キクラゲ
  • かぶ
  • 大根
  • レンコン
  • もやし
  • 豆腐
  • 豆乳
  • 白菜
  • はちみつ(1歳以下のお子さんや妊婦さんはNGです)

などなど、たくさんあります。秋の鍋料理は、これらの食材をたくさん取り入れることができるので、とても良いですね!

◇『少辛多酸』相克関係の肝の養生も忘れない

辛みは金のエネルギーを持つ味。秋は少しの辛味が欲しくなる季節です。なぜなら気を巡らせてくれるから。肺の働きを助けてくれるのです。秋にカレーを食べたくなること、多いですよね?ただし過剰なスパイスなど強すぎる辛味は、肺を乾燥させてしまうので要注意。もし過剰に辛味を欲するようなら、それは気が巡っていないというサインかもしれません。ヨガや気功、良い香りを嗅ぐなど、別の方法で気を巡らせ、肺の働きを助けてあげてくださいね。

あとは、相克関係の肝を元気づけるために、木行のエネルギーを持つ酸味のあるものを少し取り入れてあげると良いでしょう。

◇食材に火を通して温かいものを食べる

陽気が盛んな夏は、体の熱を冷ますために、生野菜などを多く取っていたかもしれません。陰気が旺盛な寒い季節は、ただでさえ体が冷えるので、食材には火を通し温かくして食べるようにしましょう。

こころの養生

季節の養生に触れる際、生活や食養生については多く語られますが、あまり語られないのがこころの養生。おそらく最も大切な養生なのではないでしょうか。

金が持つエネルギーは収れんの他に、代表的なものがあります。それが

粛殺のエネルギー

秋は葉が枯れ落ち、昆虫は卵を産んで死に、自然界のたくさんのものが命を落としていきます。その厳しさが粛殺のエネルギーです。それに同調しすぎると、気持ちは落ち込み、悲しみの感情が強く出てきます。その粛殺のエネルギーに負けないよう、心と体を調えていくことが大切だと、2500年前に書かれた中医学の本「黄帝内経」には書かれています。

少しの哀愁は大いに感じてください。それは自然界と私たちがつながっているからこその感情です。心身を調えながら、季節の移り変わりを楽しんでいきましょうね。

季節の養生 秋 最後に

たくさんのことを書きましたが、寒い季節の養生で大切なのは、とにかく陽気(エネルギー)を外に逃がさす、内側に溜めておくことです。そのために、穏やかに、静かに過ごすこと。そのエネルギーはきっと来年の春に勢いよく芽吹くことでしょう。

金は内側に向かうエネルギー。そんなエネルギーを持つ秋は、内観を深めるのにとても良い季節といえます。静かにゆったりとした時間で、秋を楽しんでくださいね。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました!

みなさんが、今より健康に戻り、今ある幸せに気づいていけますように。

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