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ブログ 中医学

愛の医学〜中医学が伝えるメッセージ〜

最近「東洋医学」と並んでよく聞かれるようになった「中医学」。皆さんは、どんなイメージを持っているでしょうか。

体にやさしい、天然、養生、予防医学、怪しい、非科学的…

結局、「よく分からない」というのが正直なところかもしれません。もちろん、中医学は「医学」なのですが、それだけではありません。このブログでは、中医学が持つもう一つの側面、「哲学」についてお話したいと思います。

中医学は哲学

中医学は2500年前から伝わる陰陽五行を源にした医学です。その陰陽五行とは、中国古代の先人たちが自然界を観察して得た「自然哲学」だと言われます。

中医学を代表するキーワード「天人合一」。自然界が大宇宙とすれば、私たちの体は小宇宙。もし自然界と調和して生活ができれば何も問題がない反面、もし自然界の流れに反する生活、つまり自然界に対して不調和を起こした時、人の体は不調を起こすと考えます。

例えば、真冬の寒い状況下で真夏のような格好をしていたら、誰でも風邪を引いてしまいます。それを考えると、分かりやすいですね。

この自然界(宇宙)の法則を医学に適応させているのが中医学です。

自然界の法則や考え方を正しく理解した時、それは医学でありながら、実は私たちの人間性を高め精神的成長を促してくれる「愛の哲学」ともなるのです。

中医学は数千年前から伝わる地球エコロジー

もう一つ、中医学の大切な考え方の一つに「天・人・地」という言葉があります。

天 『空』

人 『全ての生命』

地 『大地』

どこまでも広がる空間の中で気象変化などのアクションを起こす「天」。その天のアクションを受け生命を育み変化させていく「地」。そしてその間で生きる「人」。

その昔、「人」という漢字には、動物・植物・昆虫など、あらゆる生命の意味合いが含まれていたそうです。「人」とは、私たち人間のことだけではないのです。「天人地」、それは地球を一つの生命体(ガイア)として捉えた壮大な関係性、まさに生態系を現している言葉だといえると思います。

現代、地球環境保護のために、自然と人間との調和、共存を目指すエコロジスト的な思想が広まっていますが、数千年前からこの考え方は中医学のベースとしてあったということです。

自然界が与える無償の愛

中医学の大切なベースとなる哲学「陰陽論」は、万物の全てを陰と陽のエネルギーに分ける考え方です。大きなくくりで、目に見えない働きやアクションを起こすエネルギーを「陽」、目に見える物質や起こされたアクションを受け取るエネルギーを「陰」としていますが、実際は100%の陽も100%の陰もなく、また陰陽はお互いに求め合い、作用し合っているものです。

男性は陽、女性は陰。天は陽、大地は陰。天は父、大地は母。

「天人地」は、動物も植物も昆虫も人間も、命ある生き物全て、同じ父(天)と母(大地)の間で生きていることを教えてくれています。

例え私たちが、海や大地を汚しても大気を汚染しても、それでも自然界は私たちを愛してやみません。空には太陽が一日も休むことなく毎日昇り、どんな生き物にも暖かな光を注いでくれます。大地はどんな人にも生きるための植物を育ててくれます。

そう、私たちは、父親である天と母親である大地から、無償の愛を受け取って日々生かされているのです。

そんな自然界に対して、私たちは何ができるでしょうか。

中医学は愛の医学

敬天愛人(けいてんあいじん)

文字通り、天を敬い人(生きとし生けるもの)を愛する。敬天愛人には、そんな意味があります。愛とは慈悲であり、命に対する礼儀でもあります。私たちを愛してやまない自然界に対して敬意と感謝を持ち、天地という同じ両親を持つ全ての命に対して慈悲と礼儀を持つこと。

それは、私たちが自然界の一部であることを理解し、全てと調和して生きることにつながり、結果的に健康な体と健全な精神を育てていくことになります。

この敬天愛人こそ、中医学が伝えるメッセージ。

そしてもう一つ忘れてならないのは、自然界の父母(天地)に敬意と感謝を持つと同時に、私たちの産みの親である両親に敬意と感謝を持つことを、中医学は教えてくれます。

私たちは何から出来ているか。

私の中医学の師は問います。

中医学では、表面に出てきた不調に対して、その人個人の体質以外にも、親の生まれ月や体質なども判断の材料にします。私たちがどんなに目を伏せても、親の体質や性質を受け継いでいるのが現実です。認めるしかないのです。

それを認められた時、受け入れることができた時、きっと私たちの中で親に対する想いが一つ、変化すると思います。

私たちは皆、父と母から出来ています。どんなに自分探しをしても、ルーツを辿った先にはいつも二人がいて、私たちの中にはいつも二人がいてくれているのです。現在の結果がどうであれ、二人が愛し合った結果として私たちは生まれました。

それを思うと、親に似てちょっと嫌だなと思っていたところも、何となくくすぐったいような、愛着が湧いてくるものです。

親を認めることは、自分を認めること。

親を許すことは、自分を許すこと。

親も完璧ではありません。その時の最善の精神状態で、私たちを育ててくれたこと。そのことに、ただただ感謝をします。

私たちは「愛」から出来ています。

中医学は、そんな素敵な哲学がベースにある「愛の医学」なんですよ。

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