中医学

夏バテしない!長夏の養生②

前回は長夏の季節と不調の原因についてお伝えしました。今回は中医学で一般的にいわれる長夏の食養生とココロの養生についてお話します。

▼パート①はこちら

夏バテしない!長夏の養生 食養生:甘みと黄色

五行では「五味」といって、各五臓に対応する味があると言います。土が持つ味は「甘」。甘味のある食べ物が脾をホッとさせるということです。ただ砂糖のような強い甘味ではなく、白米など素材が持つ自然な甘味のこと。

そして「五色」といって、各五臓に対応する色もあります。土の色は「黄」。これは脾に対応する色で、病気の時の顔色にも表れるといいます。例えば脾の力が弱くなった方の顔色は、黄色みがかった土気色になります。この色は、逆に不調になった五臓を元気にしてくれる色でもあるので、無意識に選ぶ色は今自分が必要な色(不調の五臓を元気にしてくれる色)ともいえるわけです。

脾に対応する味は「甘」、色は「黄」。

  • かぼちゃ
  • さつまいも
  • トウモロコシなど

黄色くて甘い素材は脾や胃に優しいということになります。冷たいものの暴飲暴食などで、お腹の調子が悪い時は、優しい甘味のあるかぼちゃやトウモロコシ、気血を補う長芋やクコ、棗(なつめ)をプラスした消化のよい温かいお粥を食べると、ゆっくり回復につながるかもしれません。

夏バテしない!長夏の養生 食養生:土と水の関係

ここで補足しておきたいのが脾と腎の関係です。脾は土の性質を持ち、腎は水の性質を持ちます。この二つは五行関係の中では相克関係といわれます。

相克関係とはおじいちゃんと孫のような関係。普段は、孫(腎)が暴走しないよう、おじいちゃん(脾)は目を光らせてうまく綱を引いてバランスを取ってくれているのですが、何かのきっかけでおじいちゃん(脾)がバランスを崩し、年の割に筋肉粒々の強くて怖いおじいちゃんになったとします。すると、今まで上手に綱をチョイチョイ引っ張っていたのが、今度はガオーッ!と腎を虐めだしてしまうのです。そのため、季節の養生では相克関係の相手も一緒に養生することが大切になります。

例えば、甘熱助湿という言葉があります。甘みや熱のある食べ物は、体の中の湿気を増やしてしまうという意味です。甘味が脾に良いといって過剰に摂りすぎると、水分代謝を管理する腎に影響を及ぼして、浮腫みの原因にもなりますので、なんでもバランスが大切です。

胃腸を元気にするために、甘味や黄色の素材を意識するなら、同じくらい相克関係の腎の色である「黒い」ものや、腎の味である「しょっぱみ」のある食材も、意識するといいでしょう。

浮腫みの対策には利尿作用のある食べ物をいただきます。

  • ナス
  • きゅうり
  • 冬瓜
  • すいか
  • わかめ
  • ハトムギ
  • 緑豆

上手に体の余分な水を追い出し、脾胃を元気にしてあげましょう。

夏バテしない!長夏の養生 食養生:火の養生も一緒に行なう

長夏の脾にやさしい食養生についてお話しましたが、まだまだ暑さが続く秋までは夏の養生法も有効だと思います。

例えば暑さで体が火照ってしまう方は、冷たい物を摂る前に、涼の性質を持つ野菜や果物、素材そのものに苦味のある食べ物を食べてみてください。そして五行の夏の色である赤みのあるものも。これらは全て一般に「夏野菜」としてスーパーに並ぶもので簡単に手に入ります。スーパーに並ぶ旬の食材がその季節の五臓を労わる食べ物ということです。体と自然界は繋がっています。

ここまで食養生についてお伝えしてきましたが、養生するのは食だけではありません。自然界の変化で私たちの五臓も変化をし、同時に五臓とつながる感情も変化していきます。心の持ち方も、見逃せない養生法です。

夏バテしない!長夏の養生 長夏のココロの養生

私たちの体には、五臓と呼ばれるエネルギー(気血)を貯蔵するタンクがあります。この五臓は私たちの感情とも密接につながっています。

五臓が調っている時は穏やかな感情も、五臓が乱れて不調になればコントロールが利かなくなったり、特定の感情だけが著しく表れたりします。また同じ感情を持ち続けている場合も、その感情につながる五臓はどんどん弱ってしまうのです。

土用の脾は五行で土の性質をもっています。土の性質とは「受容して変化させる」こと。この土の性質が弱まるということは「受容できず、変化させられない」ということです。

ここからくる土~脾の感情は「くよくよ思い悩む」感情。

「どうしよう・・・」
「でも・・・」
「あの人はこう言っていたし・・・」
「やっぱりこっちの方が・・・」
「もごもごもごもご・・・etc.」

思い当たる方は「脾」の働きが低下気味かもしれません。胃腸の調子はいかがですか?口唇ヘルペス唇が荒れやすくなってはいませんか?堂々巡りに悩み続けることで、さらに「脾」を弱めてしまいます。生活習慣から五臓を弱め、感情のコントロールが利かなくなることも考えられます。何か気になる感情や症状に気づいた時は、原因がどんなところにあるのか、自分の生活を振り返ってみましょう。

五行説と同じく中医学の考えのベースとなる陰陽論。季節が巡るように、陰と陽は常に動いて止まることがありません。感情だけが前へ進めず置き去りになっていないか、まずは気づいてあげることが大切です。

夏バテしない!長夏の養生 夏のココロの養生

まだまだ暑い日が続きます。長夏にプラスして夏のココロの養生についても、もれなく触れておきましょう。夏に活発に働く五臓は「心」(心臓)。この心は「火」の性質を持っていて、熱く上昇するエネルギーを持っています。夏のココロの養生で大切なのが、感情をおもいきり表現する!ということです。

心は五臓の君主的な存在。王様です。その他の五臓が持つ感情、「怒り」「喜び」「憂い」「悲しみ」「恐れ」それらを発散せずにため込むと、行き場所がなくなったエネルギーで心はどんどん熱くなります。そして、その熱で心を取り囲む肺を焦がしてしまうのです。夏の終わりや秋口に、乾いた咳が出ることはありませんか。

夏はとにかく、大いに感情を表現しましょう!自然界で植物が夏に大きな花を咲かすように私たち人間も夏に「感情」を通してそれぞれの花を大きく咲かせるのです。

暑いー!
キャンプ楽しいー!
BBQ楽しいー!
アイス美味しいー!
ビアガーデン最高―!!!!

あれ?冷たいものはダメなのでは?と思ったあなた。物事に「絶対」はありません。陰陽は見る基準、角度を変えることで、様々な捉え方ができます。100 vs. 0の思考を取っ払いましょう。そして、体をいたわるやさしい気持ちはそのままに、竹のようにしなやかなココロを育てていくのです。

みんなで食べるアイスクリームも、冷たいビールも子どもと食べる真っ赤なシロップのかき氷も、食べる時は罪悪感をもたず、素直に喜びながら大いに楽しんで、そして感謝していただくことです。

楽しい夏の思い出が、これから迎える静かな陰の季節、秋と冬を乗り越えるための大切な土台となります。

もちろん体に負担はかけてしまうのできっと顔は浮腫むでしょう。おなかを下すかもしれませんし、夏バテの症状も感じるかもしれません。そんなときは「無理させたね」「ごめんね」「ありがとう」と労わる気持ちで、やさしくケアすることを忘れずに。そうやって、「わたし」と「からだ」は話し合いながら、助け合いながら、いたわり合いながら、二人三脚で生きていくのだと思います。

夏バテしない!長夏の養生 まとめ

中医学は生きる知恵です。そして静かに体と向き合う時間はマインドフルネスな時間。それは幸せの道へ繋がります。

皆さんが、より自分自身を知り、「こころ」と「からだ」が繋がることで幸せな日々を送ることができますように。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました。何か一つでも参考になることがあれば幸いです。上手に暑い季節を過ごし、また新しい季節を元気に迎えられますように。

 

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