陰ヨガ ポーズ動画解説 オープンウィング
陰ヨガ ポーズ解説動画 「心」と「心臓」の違い
今回ご紹介する陰ヨガのポーズはオープンウィングです。陰ヨガでは数少ない上半身のポーズ。夏の五臓「心」にアプローチできます。「心」は中医学で「こころ」と読まず「しん」と読みます。西洋医学でいう「心臓」というと分かりやすいでしょうか。ただ中医学では、臓器そのものを指し示すより、その働きや目に見えない概念まで幅広い意味合いを持ちます。
陰ヨガ ポーズ解説動画 オープンウィングと「心」
オープンウィングは肩から腕の内側にアプローチするので、実際には「心」だけでなく腕に内側に流れる三本の陰の経絡「心」「心包」「肺」にアプローチできます。難しいことは、ここではさらっと流します。この動画を撮ったのが夏だったので、動画では「心」をメインにお話すすめています。
陰ヨガ ポーズ解説動画 心と小腸の経絡
「心」の経絡の流れは次の通り。実際に辿ってみると分かりやすいです。
- 脇の下からスタート
- 腕の内側を通る
- 小指の先へ
もう一つ、実は五臓とペアになって働く「六腑」といわれる臓器があり、心のペアは「小腸」です。そちらの経絡の流れも一緒にご紹介しますね。同じく指で辿ってみましょう。
- 小指の先からスタート
- 腕の外側を通る
- 肩後ろから肩甲骨へギザギザ
- 肩前へ来て鎖骨
- 首と頬をつたい
- 頬骨から耳へ
オープンウィングは、肩と腕の内側の経絡に刺激を与えるものなので、通常であれば腕の外側を刺激するカウンターポーズ「ブロークンウィング」などをセットで行ないます。すると、心とペアの小腸やその他にも肺とペアの大腸、心包とペアの三焦の経絡にもバランスよくアプローチができるのです。ブロークンウィングについては次回の動画でご紹介しますね。
陰ヨガ ポーズ解説動画 オープンウィングのやり方
- 時間を決めてセットする 陰ヨガのポーズは3分~5分。初心者の方は短い時間からはじめましょう
- ターゲットを探す オープンウィングのターゲットは肩の内側です
- 全身は脱力させる ターゲットに緩い刺激を探します。くれぐれも怪我をするような痛みは作らないよう注意して下さい。物足りなく感じるところで十分です
- 場所が決まったら静止する ターゲットの刺激に意識を向けていきます。セットした時間、キープできる刺激。そこに留まることができる刺激を探します。そわそわと動きたくなる、または動いていることにハタ!と気づいた時、それは心の状態がバランスを崩しているという体からの合図かもしれません。ただ、それに対して「良い」や「悪い」のジャッジをすることなく、今の自分の状態を知って受け入れる練習もします
- リバウンド ポーズのあとのリバウンドは体の中の気血の流れを感じたり、体の変化を感じる時間です。体の暖かいところと冷たいところ、軽いところや重いところなど、繊細に観察をします。生きている自分の身体がとても愛しく感じる時間です。
陰ヨガ ポーズ解説動画 「心」について
「心」は精神と脳に深く関係する五臓と言われ、他の五臓の君主と言われるほど、その役割は大きいのです。心が主る体の器官は「舌」「脈」「面」など。
◇舌
心の働きが良いと、活舌よくお話ができたり、細かな味を繊細に感じられたります。逆に心の働きが悪い時、例えば大きな精神的ショックを受けた時などは呂律が回りにくくなったり、舌に口内炎ができたり、また味が分からない(味覚障害)などの症状が出ることがあります。
◇脈
「脈」というのは血脈・血管のことで、心の働きが良いと血色がよく、表情が生き生きとする、と言われています。また、心は五行で火のエネルギーの性質をもっているので、心の気が過剰になると、夜眠れなくなってしまったり、動悸がしたり、そわそわ落ち着かず、人におせっかいを焼いてしまったりすることがあるといわれています。
◇面
心の働きが良いかどうか、一番分かりやすいのは「面」(顔)を見ることです。大きなストレスなく、生き生きと生活できている時は、その人らしい花が咲きます。それが表情に現れてきます。
オープンウィングや腕を使うポーズでしっかり心や小腸の経絡の流れを促してあげると、お顔の血色が良くなったり、体が温かくなったり、美味しくご飯が食べられたり、腸の調子も良くなったり、夜もしっかり眠れて落ち着いた生活が送れるようになるかもしれませんね。
陰ヨガ ポーズ解説動画 「心」の養生 子午寝
動画の中で昼の11時~13時の間に少しお昼寝をすると心の養生になりますとお話ししています。実は中医学では、五臓は一日の中で当番制のように働きを強める時間があり、経絡を通して次の当番の五臓へ気血を送り届けていると考えられています。それがこの「十二経脈気血流注図」。別名「経絡時計」です。
◇陰陽転化の時間は寝る
子の刻(23時~1時)「胆」の時間と、午の刻(11時~13時)「心」の時間を結ぶ線を子午線といい、図の通り、自然界は夜から朝へ、朝から夜へ変化し始める時間です。それは同時に、陰陽のエネルギーが陰から陽へ、陽から陰へ変わる時間でもあります。陰陽が転化する時間は体に負担がかかりやすいので眠ってあげるとよい、という考え方です。
夜中の23時~1時は胆の時間。陰気がたくさんあるので、たっぷり寝ます。昼の11時~13時は心の時間。陽から陰にバトンタッチの時間です。陰気が少し出てくる時間なので、少しだけ寝ます。
◇年配の方、心臓に疾患がある方は積極的にお休みを
心は五行で火のエネルギーを持っています。それは活動のエネルギーでもあり、心の時間(11時~13時)はいわゆる体の中の陽気が極点に達する時間です。太陽が高く上がり、気温も上昇している時間。中医学でとても大切な考え方の一つに「天人合一」と呼ばれるものがあります。自然界が大宇宙なら、人間の体は小宇宙。無条件に小宇宙は大宇宙の影響を受けているので、自然界の陽気が極点の時は、人間の体の陽気も必然的に極点に達することになります。ですが年配の方や体調不良の方などエネルギーの弱い方は、この時間、陽のエネルギーを極点まで旺盛にできず、体が辛く感じることがあるのです。
さらに夏の暑い日には、高血圧や心臓に病気を抱える方も、同様に辛さを感じる時間になります。なぜなら火のエネルギーが最も上昇する時間に、病気でさらに過剰になるから。なので、年配の方や体調不良の方、そして高血圧や心臓に病気を持つ方は、昼間の12時前後に10分~15分ほどお昼寝をしてあげて、心の負担を和らげてあげると良いといわれています。季節が夏に入り、なんだか昼間に眠くなるな・・・辛いな・・・と感じる方は、体からのサインなので罪悪感を感じることなく、お昼寝をしてみましょう。
陰ヨガ ポーズ解説動画 まとめ
ヨガのポーズもなんのためにしているのか、それが分かると、より一層楽しくなりますね。生活養生も含め、陰ヨガ オープンウィング、ぜひお試し下さい。
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