陰ヨガ ポーズ解説 「スフィンクス」「シール」:解説動画
陰ヨガ ポーズ解説 「スフィンクス」「シール」:解剖学的アプローチ
<ターゲットエリア(骨・関節)>
第一ターゲット
- 腰椎(腰)の屈曲
第二ターゲット
- 胴体全面の伸長
<効果>
脊柱、主に腰椎を強くします。また、胸・肩・腹部のストレッチをすることで、内臓を活性化します。
陰ヨガ ポーズ解説 「スフィンクス」「シール」:中医学的アプローチ
中医学の観点でみた時、スフィンクス/シールは様々な経絡にアプローチをしているのですが、中でも腎/膀胱経へアプローチしたい時によく使われるポーズです。
腎/膀胱へのアプローチ
まず、背中を反らせることで、背骨の両サイドに流れる膀胱の経絡にアプローチします。また同時に体前面に流れる腎の経絡にもアプローチすることになります。生理学的にも、ちょど背中を反らせた時の腰の辺りには腎臓がありますので、直接臓器に刺激を与えることができるポーズです。
腎経
- 足の裏のツボ「湧泉」からスタート
※図では膀胱経からつなげていますが、腎経単体では湧泉スタートです - 内くるぶしを一周
- 脚内側を流れる
- へその横を通り
- 鎖骨まで
膀胱経
- 目頭からスタート
- 頭の上から後ろへ周り
- 首の後ろ
- 背骨の両サイドを流れ
- お尻、脚の後ろ側を流れ小指の先まで
陰ヨガ ポーズ解説「スフィンクス」「シール」:腎/膀胱のお話
腎/膀胱は、五臓の中でもとりわけ大切な臓器と言われています。
腎は先天のエネルギーを蓄えるタンク
中医学で、腎は「先天のエネルギー」を貯蓄するタンクと言われています。これは生まれる時に両親から最初にもらう「命のギフト」です。このタンクは、大きい人もいれば小さい人もいて、基本的に生まれた後は増やすことはできないといいます。年齢とともに、エネルギーは少なくなりますが、最終的に枯渇した時、私たちの命が終わるときです。要するに、直接寿命と大きく関わるエネルギーといえます。
もともと腎のタンクが小さい人は、いわゆる「虚弱体質」といえるのですが、ではこの人は、生まれながらに不利なのか?というと、けしてそういうわけではありません。
エネルギーがたくさんあり、一見健康そうに見える人は、体力を過信する傾向にあり、無理をすることがあります。すると、せっかくたくさんのエネルギーをもらって生まれても、消耗が激しく、突然大きな不調をおこしてしまうことがあります。
逆に元々先天のエネルギーが少ない人は、自分の身体が弱いことを自覚しているので、無理をしません。エネルギーを大切にすることで、命を全うすることができるのです。
先天のエネルギーが消耗した時の体からのSOS
忙しい現代社会で、毎日遅くまで働き、休日には運動と称して体力以上の汗をかき、カレンダーはいつも埋まっている状態。そんな人も少なくないと思います。
腎のエネルギーが消耗しすぎると、特定の不調が現れます。
- 疲れやすい
- 寝ても寝ても眠い
- 耳鳴り、難聴
- 皮膚が黒っぽくなる(日焼けではありません)
- 腰痛、ぎっくり腰
- 不安感がある(ガスの火止めたかな?そわそわ・・)
- 足腰が冷えやすい
- 物忘れ
- 呼吸が浅い(吸えない)
- 唾液がネバネバ
- 髪の毛がパサパサ、抜ける
もし30代~50代の若さで、このような症状が出ている時は、自分の体力以上のことをして、命のエネルギーを消耗している可能性があります。体はサインを出して教えてくれますので、その声をしっかり受け止めて、身体を労わってあげます。
腎のケアをすることは、そのまま「命のケア」をすることに繋がるのです。
陰ヨガ ポーズ解説「スフィンクス」「シール」:命を労わるポーズ
腎を直接刺激するスフィンクスは、まさに「命を労わるポーズ」だと私は思っています。
父親と母親の存在、その両親から頂いた命のエネルギー。大切にできているだろうか?スフィンクスのポーズをキープする間は、単に肉体的な感覚に目を向けるだけでなく、命とその根源に向き合う大切な時間です。
陰ヨガ ポーズ解説「スフィンクス」「シール」:やり方
- 時間をセットする 5分ほど 体調に合わせてお好みの時間を設定する
- ターゲットを調整する スフィンクス/シールのメインターゲットは腰椎(腰)です。ここに緩やかな刺激を作っていきます
- バリエーションを決める 柔軟性、腰の痛みがあるかないかによって、後屈の深さを調節する必要があります。深く入れることが良いこと、という考えは捨てましょう。形はどうでも良いです。ターゲットにちょうど良い刺激が入るように、調整することが大切です。※ブロックなど道具はなくてもできますが、必要に応じて工夫して使ってもよいでしょう。
- 全身を脱力する とてもシンプルなポーズですが、意外に力が抜けていないことがあります。頭のてっぺんからつま先まで、身体をじっくりスキャンするように眺め、脱力をしていきます。「力が入っていた」と気づくことがまずは大切です。
- 静止する バリエーションと刺激の深さが決まったら、静かに動きを止め、留まります。
- シールのポーズ ※オプションです。もし、ポーズを深めたい場合はシールのポーズに入っていきます。後屈が深くなるので、けして無理はせず、そのままスフィンクスで終えても問題ありません。
- リバウンド ポーズから抜ける時は、必ずお腹から順番に、胸、頭とマットにおろしていきます。けして焦らず、ゆっくりと動作します。全身がマットに下りたら、好きな体勢で余韻を感じます。
陰ヨガ ポーズ解説「スフィンクス」「シール」:注意点
腰に鋭い痛みがある、仙骨不安定症などがあるときは、このポーズは避けます。ポーズの途中で、鋭い痛みが走った時には、すぐにポーズから抜けます。上を向いて首の前を伸ばそうとせず、首はニュートラルな状態にして、頸椎を守ります。怪我のないよう、安全に行なってください。
陰ヨガ ポーズ解説「スフィンクス」「シール」:まとめ
いかがだったでしょうか。陰ヨガの代表的なポーズで、形はとてもシンプルです。だからと言って、簡単なポーズかというわけでもありません。シンプルでも、そのポーズの中で何を感じているか、それを観察し続けるのが陰ヨガです。命を労わるポーズ「スフィンクス/シール」、ぜひやってみてください。